自動化設備メーカーの選び方|自社に合う依頼先を見極めるポイント

工場の自動化設備は、製造現場の省人化や稼働率の向上、品質の安定化などを図り、持続的かつ安定した生産体制を維持するために役立てられています。
一方、自動化設備の導入にあたっては、生産ラインの構成や作業工程、求められる機能・性能などといった多岐にわたる要件を確認しなければなりません。
メーカーの提案力・設計開発力によって自動化の成果が大きく変わるため、自社の課題に寄り添ってくれるパートナーを見極めることが大切です。
この記事では、自動化設備の導入にあたってパートナー選定が重要な理由をはじめ、依頼先ごとの違い、自社工場に適した自動化設備メーカー・ロボットSIerを見極めるポイントなどを解説します。
目次

自動化設備の導入にパートナー選びが重要な理由
生産ラインの自動化を成功させるためには、導入を支援してくれるパートナー選びが重要です。その理由には、以下の3つが挙げられます。
自動化設備はオーダーメイド開発が多い
工場に導入される自動化設備の多くは、パッケージ型の既製品ではなく、現場に合わせた完全オーダーメイド開発となっています。なぜなら、自社工場の環境や既存設備、扱う製品によって自動化設備に求められる仕様が変わるためです。
ロボット単体や既製品のカタログ上のスペックだけで依頼先を選ぶと、「既存ラインに組み込めず大規模な設備交換が必要になる」「自社の品質要件に適合しない」といった失敗を招きかねません。
現場に最適な自動化設備を導入するには、ゼロベースの構想設計からシステム構築まで対応できる設計開発力・技術力が備わった事業者の選定が重要です。
現場ごとに課題や条件が異なる
生産ラインを自動化するにあたって、クリアすべき課題や条件が現場によって大きく異なることも、パートナー選びが重要といえる理由の一つです。
工場によってボトルネックとなっている工程や自動化の目的は異なるほか、製造する製品の特性や工程、目標とするタクトタイム、既存設備のレイアウトなどのさまざまな制約条件を考慮しなければなりません。
現場にとって「本当に使いやすい」自動化設備を導入するには、自社工場の課題や条件を整理して、生産性・品質・コストといった視点から「全体の最適化」に向けた提案を行える事業者を選ぶことが重要です。
依頼先によって導入成果が変わる
自動化設備の導入によって得られる成果は、依頼する事業者の提案力や設計開発力によって変わります。なぜなら、生産ラインの自動化には、産業用ロボットの導入やAI・IoTの活用、協働ラインの再構築などの幅広い手段を検討できるためです。
特定の工程だけを機械・ロボットに代替させる目的でプロジェクトを進めると、運用開始後に前後工程との連携に不具合が生じたり、設定変更や品種追加などのオペレーションが複雑になったりして、思うような成果を得られない可能性があります。
自動化の成果を最大化するための最適な手段を提案してくれる事業者に依頼することが、設備投資の費用対効果(ROI)を高めるうえで重要となります。
自動化設備メーカーとロボットSIerの違い
生産ラインの自動化を依頼するパートナーは、大きく分けて「自動化設備メーカー」と「ロボットSIer(システムインテグレーター)」の2種類があります。
自社工場の課題や導入規模によって適している依頼先が異なるため、まずはそれぞれの役割や対応範囲の違いを理解しておくことが大切です。
自動化設備メーカー
自動化設備メーカーは、特定の工程や用途に特化した装置・機械を自ら設計・製造している事業者を指します。例えば、「自動パレタイザ(積載装置)」「AI外観検査装置」「部品洗浄装置」などが挙げられます。
パッケージ品の販売や既製品をベースとしたカスタム設計によって、特定の工程・作業における自動化設備の導入を支援してくれます。
▼自動化設備メーカーの特徴
- 特定の領域・分野に特化した専用機のパッケージやカスタム設計に対応
- 自動化設備の導入予算を明確にしやすい
- ゼロベースの開発と比べて短納期での導入を実現しやすい
自社工場が求める要件とメーカーの自動化設備がマッチすれば、初期投資コストを抑えつつ短納期で導入を実現しやすいことが利点です。
ただし、あくまで既製品をベースとした提案になるため、他社製を含む既存設備との連携設定や、特殊な要件が求められる柔軟なシステム構築は難しいという課題があります。
ロボットSIer
ロボットSIerは、産業用ロボットや周辺機器、各種計測装置、ソフトウェアなどを組み合わせて、現場に最適な自動化システムの構築を一貫して支援する事業者です。
既製品のパッケージを扱う自動化設備メーカーとは異なり、現場の課題分析からゼロベースの構想設計を行い、現場での実装や導入後の保守運用サポートまで対応しています。
▼ロボットSIerの特徴
- パッケージで対応できない複雑な工程でも柔軟に自動化システムを構築できる
- 既存の古い機械・設備を活かした後付けのシステム構築が可能
- オーバースペックのないシステム構築で初期投資コストを最適化しやすい
自社が求める機能・性能・品質要件を踏まえた自由度の高いシステム構築を依頼できるため、複雑かつ高度な設計が求められる工程や大規模な生産ラインに適しています。
自動化設備の導入パートナーを選ぶ際に確認したい7つのポイント

自社工場に適した自動化設備の導入パートナーを選ぶために、事前に選定基準を明確にしておくことが大切です。ここからは、メーカーやロボットSIerの候補選定や提案内容の比較を行う際に、確認したい7つのポイントを紹介します。
ポイント1.同業界・類似工程の実績があるか
自動化設備の導入実績は、事業者の技術力を判断するうえで重要な情報の一つです。
自社工場と同じ業界や類似工程での導入実績を豊富に持つ事業者は、現場の生産体制や起こりやすいボトルネックを踏まえた的確なシステムを提案してくれることが期待できます。
これにより、現場とのミスマッチによる設備投資の失敗リスクを防げるほか、システムの要件定義や立ち上げまでスムーズに進めやすくなると考えられます。
ポイント2.課題整理から提案できるか
自動化支援のパートナーを選ぶ際には、現状課題を整理するステップから伴走してくれるかどうか確認することが重要です。
現状課題が曖昧になっていると、要件定義の抜け漏れによるトラブルが発生して、高額な追加コストが発生したり、想定していた成果が得られなかったりする可能性があります。
生産ラインの自動化にはさまざまな検討要素があり、工場によって最適なシステム構成は異なるため、事前に現場の全体像を可視化してボトルネックとなっている工程・作業を特定することが欠かせません。
ポイント3.ロボットや周辺設備を含めて提案できるか
生産ラインの自動化は、機械・ロボット単体を導入すればよいというものではありません。現場で機能させるには、周辺機器を組み合わせて導入することが必要です。
例えば、ロボットハンドツールや搬送装置、画像処理システムなどが挙げられます。ハード・ソフトの両面から自動化システムを総合的に設計・構築できる高い提案力を持つパートナーを選ぶことで、前後工程をつないだ効率的な自動化ラインを実現できます。
また、工程・作業ごとに別々のメーカーに依頼することによる設備間の連携トラブルをなくし、予算に合わせた生産ラインの自動化が可能になります。
ポイント4.既存設備との連携に対応できるか
自社工場にある既存設備との連携性について事前に確認しておくことが欠かせません。
新たに導入する機械・ロボット・システムなどが既存設備と連携できない場合、工程の一部に手作業が残り、自動化による成果を十分に得られない可能性があります。また、大がかりな設備の入れ替え・改修が必要になると、初期投資コストが膨らみます。
今ある既存資産を活かして自動化を実現するには、以下のような技術を持つパートナーを見極めることがポイントです。
▼既存設備との連携技術
- ハード・ソフト製品の内部構造を可視化するリバースエンジニアリング技術
- 新旧の設備間で稼働データや信号をやり取りするための通信連携技術
- 後付け可能なセンサーや既存環境に導入できるロボット技術 など
ポイント5.カスタマイズ対応が可能か
自動化設備の導入に失敗しないためには、自社工場に合わせた柔軟なカスタマイズが可能なパートナーを選ぶことが必要です。
既製品のパッケージを扱うメーカーの場合、カスタマイズが可能な対応範囲が限定されることがあり、自社工場に必要な仕様や要件を満たせない可能性があります。
パッケージでの対応が難しい現場では、ゼロベースで自動化システムを構築できるロボットSIerに依頼して、現場の環境や工程に合わせたオーダーメイド開発を選ぶことが重要です。
ポイント6.導入後の保守・サポート体制が整っているか
自動化設備を安定稼働させるには、導入後の保守・運用体制を整えることが欠かせません。
しかし、社内に保守・運用を行えるエンジニアがいない場合には、「設定変更や品種追加を行えない」「不具合の対処ができない」といったトラブルを招く可能性があります。
導入後の保守・サポートまで対応してくれるパートナーを選ぶことで、自動化設備が形骸化してしまうリスクを避け、生産ラインの一時停止による生産ロスや納期遅延などのトラブルを防ぐことが可能です。
▼保守・サポート体制の具体例
- エラーや不具合が発生した際の原因調査や復旧対応
- 定期的な設備メンテナンス(摩耗・老朽化診断や部品交換など)
- 製品の仕様変更や品種変更に伴う機械・ロボットの再設定 など
ポイント7.将来の拡張性まで考慮できるか
部分的な自動化にとどまらず、将来的な増産やライン変更などを見据えた拡張性を考慮してパートナーを選ぶことも重要です。
「特定の工程・作業に自動化設備を組み込む」といった部分最適化された設計の場合、生産ラインの増設や変更を行うことになった際に、以下のような問題を招きやすくなります。
▼部分最適化された自動化設計で起こりやすい問題
- 自動化の範囲を拡大させる際に、工程間でシステムやデータを連携できなくなる
- 多品種少量生産への切り替えに大規模な設備の買い替え・改修が必要になる
- 新たな設備やシステムを追加するたびに複雑なプログラム改修が必要になる など
今後の運用を視野に入れて、拡張可能性のある機械・ロボット・ソフトウェアの設計・構築が可能かどうか確認しておくことがポイントです。
自動化設備のパートナー選定で失敗しやすいケース
自動化設備の導入を依頼するパートナー選定に失敗すると、投入したコストに対して十分な成果を得られない結果となってしまう可能性があります。
ここからは、多くの工場が陥りやすい失敗ケースを解説します。
初期費用だけで比較する
よくある失敗として、見積書に記載された初期費用だけを比較して、一番コストを抑えられる事業者を選んでしまうケースが挙げられます。
「初期費用がいくらかかるか」という金額だけで依頼先を選ぶと、要件定義の段階で以下のような問題が生じるリスクがあります。
▼要件定義の段階で生じやすい問題
- 要件の抜け漏れが発生して追加費用が積み重なり、予算をオーバーしてしまう
- 仕様がオーバースペックになり、本来抑えられる費用が上乗せされる
また、自動化設備の導入後には、保守・メンテナンスの費用も発生します。継続的に発生する費用も踏まえたうえで、コストを最適化できる依頼先を選ぶことが重要です。
自動化の目的を明確にしていない
自動化の目的を明確にせずに依頼先を選定することも、よくある失敗ケースの一つです。
「どのような工程・作業から自動化を進めるべきか」といった方向性が曖昧になると、構想設計に時間を要したり、要件定義で手戻りが頻発したりして、プロジェクトが円滑に進まなくなる可能性があります。
自社工場に適した自動化設備をトラブルなく導入するためには、「何のために自動化したいのか」を明確に伝えたうえで、的確な提案をしてくれる依頼先を選ぶことが重要です。
現場の目線に立った設計になっていない
自動化設備の導入後は、現場の作業員で機械・ロボットを活用していく必要があります。
現場の目線に立った扱いやすい設計になっていない場合には、「作業員だけで設定変更や修正を行えない」「使いにくいという不満が上がり、従来のアナログ作業に戻ってしまう」といった問題を招く可能性があります。
依頼先を選定する際は、専門知識がない作業員でも扱いやすい設計や、導入後の操作レクチャーまで手厚いサポートを行ってくれるかどうか確認が欠かせません。
▼現場目線に立った自動化設備の具体例
- 複雑なプログラミングを行わずに簡単な操作で設定変更を行える
- 段取り替えの工数を削減してオペレーションを簡略化できる
- 専門知識がなくても分かりやすいマニュアルが用意されている など
自社工場に合った依頼先を選ぶために|自動化プロジェクトの進め方

自社工場に適した依頼先を見極めるには、事前の準備が欠かせません。自動化のプロジェクトを成功させるための具体的な進め方について解説します。
ステップ1.自動化したい工程と課題を整理する
まずは現在の生産ラインを可視化して、現状課題と自動化したい工程を整理します。
現状課題を整理する際は、「ヒューマンエラーが発生しやすい工程」「作業員の負荷が大きい作業」などを特定することがポイントです。
▼現状課題を洗い出す際に考慮する点
- 手待ちや手戻りが発生している工程
- 定型的な反復作業に人員を投入している工程
- ヒューマンエラーが頻発している作業
- 段取りロスが大きい既存設備 など
また、自動化したい工程についてタクトタイムや人員の配置状況、物理的なスペースの制約などをまとめておくと、相談した際にスムーズに状況を伝えられるようになり、現場の実態に合わせた提案を受けられます。
ステップ2.目的を明確にして必要な要件を洗い出す
現状課題を整理したあとは、自動化設備を導入する目的を明確にしたうえで、自社工場が求める機能・性能・品質などの要件を定めていきます。
▼自動化設備の要件で考慮する項目
- タクトタイムを踏まえた処理能力
- 品質管理・衛生管理基準
- 設置スペースの物理的な制約
- 前後工程における既存設備との連携性
- 仕様変更や品種追加の拡張性 など
複数の課題がある現場では、工場の生産性や品質に大きな影響を及ぼしている工程・作業から自動化の優先順位を決めることがポイントです。
優先度の高い工程・作業から段階的にスモールスタートで取り組むことで、自動化のコストを最適化しつつ高い成果を得られるようになります。
ステップ3.複数社の提案内容を比較する
社内の要件が固まったら、候補となる複数の依頼先を選定して、見積もりの作成とシステム構築の提案を依頼します。
このとき、社内で整理した要件・要望をまとめた「提案依頼書(RFP)」を作成・提出すると、事業者から提示された提案内容を比較しやすくなります。
提案内容を比較する際に確認するポイントには、以下が挙げられます。
▼提案内容の比較ポイント
- 自社工場の要求事項や制約条件を満たしているか
- 構想設計から運用定着までサポートしてくれるか
- 見積もりの内訳が具体的に明記されているか
- 自社の課題への理解が深く、技術的・専門的な提案になっているか
- プロジェクトの進行フローや開発期間に無理はないか など
これらの内容を踏まえて提案内容を評価することで、自社に適した信頼性の高いパートナーを選定できるようになります。
TMCシステムが対応してきた製造現場の自動化例
TMCシステムでは、これまで数多くの製造現場で自動化を支援してきた実績を持っています。ここからは、代表的な3つのテーマにおける自動化例を紹介します。
マシンテンディング
マシンテンディングは、工作機械へのワークのセット・取り出しを行う作業です。定型的な単純作業でありながら、人員の常時配置が必要になり、作業精度のばらつきが生じやすいという課題があります。
TMCシステムでは、加工工程におけるワークのセット・取り出しをロボットに代替できる『マシンテンディング自動化ソリューション』を提供しています。
現場に合わせた完全オーダーメイド設計により、必要な機能を絞り込み、コストを最適化したシステム構築を行えます。独自の信号解析技術を用いたロボット連携で、古い既存設備への後付けにも対応することが可能です。
マシンテンディングの自動化で、製造現場は以下のように変わります。
これまで手動で行ってきた繰り返し作業をロボットが代替することで、24時間稼働による生産能力の向上や作業品質の安定化、人的リソースの有効活用といったさまざまなメリットが期待できます。
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AI外観検査
目視による外観検査は、作業員によって精度やスピードのばらつきが生じやすく、不良品の見落としが発生するという課題があります。
TMCシステムでは、AIによる画像認識技術を用いて外観検査工程を自動化できる『AI外観検査ソリューション』を提供しています。
事前に設定した判定基準に沿って合否を判定する従来の「ルールベース型」とは異なり、複雑な形状や個体差があるワークも高精度に判定することが可能です。「形状の違い」「文字欠け・印字不良」「部品や組立状況の判別」などに活用できます。
▼AI外観検査ソリューションの特長
- NGパターン画像を1枚ずつ登録するだけで検出が可能
- 専門知識がなくてもシンプルな操作で簡単設定を行える
- 位置決め不要のワークの追従検出で既存設備への後付けに対応しやすい
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搬送・組立自動化
工程間でのワークの搬送や部品の組み付けといった工程は、動作を標準化しやすく自動化による省人化の効果が現れやすい領域といえます。
TMCシステムでは、現状の生産ラインと作業動線、既存設備のレイアウトなどを可視化したうえで、全体の最適化を図るための自動化システムの構築を支援しています。
機械・ハード・ソフトの各領域に専門エンジニアが在籍しているため、自動化の構想設計から機械やシステムの設計開発、据付、保守・メンテナンスまで一貫した対応が可能です。
人がいるスペースで作業を可能にする協働ロボットや、部品供給やワーク搬送を自動化するAMR(自律走行搬送ロボット)などの開発実績があります。
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まとめ
生産ラインの省人化や品質の安定化、稼働効率の向上などに役立てられる自動化設備は、現場ごとに最適なシステム構成が異なります。
導入を支援してくれるパートナーを選ぶ際は、自社工場の課題・要件を踏まえた提案力や、既存環境に適合させる設計開発力、導入後の保守運用・定着支援といったサポート体制を見極めることが重要です。
TMCシステムでは、自動化の構想設計から伴走支援する一貫体制を強みとしており、工場の課題や生産条件に適応する自動化システムの構築を支援いたします。
「今ある既存設備を活用して自動化ができるのか」「予算規模はどれくらいなのか」といった疑問をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。





