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加工機の無人稼働を実現するには?夜間運転のリスクを抑える対策を解説

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金属加工などの製造現場において、加工機の夜間無人稼働を安全に実現するには、ロボットによるワーク着脱だけでなく、切り粉対策や刃具の異常検知といった周辺システムとの連携が不可欠といえます。加工機の夜間無人化には、夜間の突発的なトラブルによる機械の破損や、不良品の大量発生といった特有のリスクが伴うからです。

加工機の自動運転を成功に導くための「5つの必須条件」と「3大失敗パターンへの具体的な対策」を理解することで、事故や不良を防ぎつつ、自社の稼働率を最大化する安全な自動化システムを構築できます。

ぜひ、自社の日常業務を思い浮かべながら読み進めてください。

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加工機の夜間無人化が進まない原因とは?現場が抱く3つの懸念

加工機の夜間無人化が進まない背景には、現場が長年の経験から察知している「有人監視だからこそ防げているリスク」が存在するからといえます。昼間の作業者が五感で察知している微小な異変をシステムで代替できない限り、無人運転への移行は困難と考えられます。

具体的には、現場の技術者や責任者は以下の3つの懸念を抱いているのではないでしょうか。
 

<懸念①:夜間のトラブルに対する恐怖>

ドリルやエンドミルの折損、あるいは切り粉(切削屑)の噛み込みによる機械の破損、さらには摩擦熱による火災といった重篤なリスクへの不安が挙げられます。
 

<懸念②:朝一番に大量の不良品が発覚するリスク>

稼働直後の数個目で加工エラーが発生したことに気付かず、機械が一晩中不良品を作り続けてしまうリスクへの懸念です。
 

<懸念③:熟練の微調整を自動化できない諦め>

ワーク(加工対象物)の微妙な寸法個体差や、気温変化に伴う機械の熱変位に対応するセッティングは、職人の勘にしか頼れないという先入観が存在します。

有人稼働では、作業者が加工音や機械の状態、測定結果を確認しながら異常に対応しています。無人稼働へ移行するには、こうした確認や調整を、センサー、計測機器、制御システムなどで補う必要があります。つまり、技術的な対策によって「仕組み」として解決していくことが重要です。
 

現場の懸念を一つずつ解消していく手法を、次章から見ていきましょう。

 

関連記事:
工作機のマシンテンディングとは?自動化の課題とロボット導入事例

 

夜間無人稼働を安全に成功させる5つの必須条件

加工機の夜間無人稼働を安全に達成するためには、単にワークを脱着するだけではなく、加工プロセス全体を無人で完結させるシステム設計が必要です。供給、清掃、工具管理、寸法確認、安全停止のどこかに人の介入が残っていると、長時間運転を継続しにくくなるためです。

安全な自動運転のためにクリアすべきハードルは、以下の5点に集約されます。

確認したい条件 対策の方向性 期待できる効果
① ワークの自動供給・搬出 高精度なハンドリング機構の構築 24時間連続運転の基礎を確立
② 切り粉の自動清掃・排出 エアブローや着座センサーの導入 チョコ停とチャッキングミスの防止
③ 刃具の摩耗・破損検知 トルク監視や折れ検知センサーの連携 工具破損による設備トラブルの拡大の回避
④ 寸法計測と自動補正 機上計測とCNCへの補正値書き換え 熱変位による加工精度の維持
⑤ 安全停止と異常通知 インターロックと外部通信の統合 万が一のトラブル時の被害最小化

 
必要な構成は、加工機、ワーク、加工時間、夜間の運用体制によって異なります。各要素の具体的なアプローチについて、詳細を見ていきましょう。

 

ワークの供給と搬出を安定させる

夜間の長時間運転を支えるためには、ロボットによるワークの供給・搬入・搬出がエラーなく安定して繰り返されることが前提です。物理的なハンドリングの不具合は、システム全体の稼働率を大きく低下させる要因といえます。

具体的な対策としては、パレットチェンジャー(加工台を自動交換する装置)の導入や、多関節ロボットによる正確なマシンテンディング(ロボットによるワーク着脱作業)の構築が挙げられます。ロボットを用いる場合、爪(ハンド)部分でのチャッキングミス(掴み損ね)を防ぐために、ワークの有無や位置ずれを検知する近接センサーを搭載することが推奨されます。また、素材供給用のストッカーは、ワークの変形や寸法のバラつきに対応できる余裕を持った設計にすることがおすすめとされています。

 

切り粉(切削屑)を自動で清掃・排出できる仕組みをつくる

有人稼働時には作業者が手動で行っている切り粉(切削屑)の清掃は、無人運転における最大の「チョコ停(微小なトラブルによる一時的な設備停止)」の要因になる可能性があります。想定される結果としては、加工精度の悪化やチャッキングエラーです。有人稼働では作業者が目視や清掃で対応できますが、無人稼働では同じ作業を自動で行う仕組みが必要です。

この課題を解決するためには、加工室内の適切なクーラント(切削液)でのフラッシング洗浄と、ロボットアーム先端から高圧空気を噴射する「自動エアブロー機構」の連動が推奨されます。ただし、噴射すれば十分とは限りません。切粉がたまりやすい場所、ワークの形状、クーラントの流れを確認し、清掃方法と噴射位置を調整します。

さらに、治具(ワークを固定する装置)の密着面に微細な切り粉が挟まっていないかを検知する、空気圧式の「着座センサー」の導入も有効です。清掃と検知を分けて考えず、切粉が残った場合に加工を開始しない仕組みまで設計することがポイントです。

 

工具の摩耗や破損を検知する

無人稼働中にドリルやエンドミルなどの工具が破損した場合、加工を停止させなければ設備への大きな損傷や不良品の量産につながる可能性があります。有人時のように「異音」に気付いて手動停止することができないため、技術的な代替検知システムが不可欠と考えられます。

具体的なアプローチとして有効な方法としては、CNC(コンピュータ数値制御)の主軸モーターにかかる負荷(電流値)を監視する「ロードモニター(トルク監視装置)」の導入です。ロードモニターは、刃具が摩耗・破損した際の急激な負荷変動を捉えて自動停止させる仕組みです。また、加工前後にレーザーや接触式センサーを用いて、工具の「刃先検出(折れ検知)」を毎サイクル自動で確認する方法も存在します。

 

加工後の寸法計測と補正を自動化する

夜間の気温変化や加工機自身の発熱(熱変位)により加工寸法は徐々に変化するため、無人運転ではこの変化を自動で計測・補正する仕組みが必要です。有人時のようにマイクロメーターで定期計測し、手動で補正値を入力する作業の自動化が求められます。

加工終了後に機内に設置したタッチセンサー(タッチプローブ)等でワーク寸法を自動で「機上計測」する仕組みは、その方法の1つです。測定データをCNCへ即座に送信し、摩耗補正値や座標値を自動で書き換えるフィードバックループを形成します。このシステム構成により、昼夜の温度差による精度低下を防ぎ、安定した幾何公差を維持することが期待できます。

ただし、自動補正の範囲を広げすぎると、異常がある状態でも補正を続けてしまう可能性があります。補正可能な範囲と、加工を停止して確認する基準をあらかじめ分けておくことが大切です。

 

異常発生時に加工ラインを安全停止する連携

どれだけ高度な対策を施しても想定外のトラブルは起こる可能性があります。そのため、重要なのは「異常発生時に被害を最小限に抑えて、安全に止まる」設計です。不具合を検出した後に、機械やロボットをどのような手順で停止させるかが問われます。

具体的には、加工機、ロボット、および周辺設備が「エラー情報」を相互に送受信し、一箇所が止まればライン全体を安全停止させるインターロック(安全連動装置)の構築が推奨されます。また、警報灯(パトライト)の点灯に留まらず、ネットワークを経由して管理者のスマートフォン等へ即座にアラートを送る「リモート異常通知システム」の導入がおすすめとされています。この連携により、夜間に自宅にいながら稼働状況を監視し、緊急時には状況を確認できる環境が整います。

 

マシンテンディング導入で起こりやすい3つの課題と対策


ロボットアームや周辺ハードウェアを単体で導入するだけでは、期待した成果につながらないケースがあります。個々の機械が連携せず、システム全体の整合性が取れていないことが原因と考えられます。この章では、加工機の自動化プロジェクトで陥りがちな3つの失敗パターンとその対策について、解説します。

導入後に課題になりやすいのは、次の3点です。

  • 小さな停止が繰り返され、稼働率が上がらない
  • 工具異常を検知できず、不良加工が続く
  • 品種変更時の段取り作業が人手に残る
 

順番に詳しく見ていきましょう。

 

微小なチョコ停が多発して実質的な稼働率が上がらない

ワークの供給バラつきや、微細な位置ずれを許容できない「マージンの狭い設計」は、頻繁なシステム停止を招き、結果として実質的な稼働率を低下させます。ロボットを設置したものの、エラー復旧のために作業員が機械に張り付くことになっては、省人化の意味がありません。
 

〇原因:
供給トレイ内でのワークのわずかな傾きや、ロボットハンドの掴み誤差に対し、センサーが過敏に反応してインターロックをかけてしまうことにあります。

〇対策:
ビジョンセンサー(産業用カメラ)を用いたワークの2次元・3次元姿勢認識技術の導入が推奨されます。また、ロボットハンド側に「フローティング機構(物理的なズレを追従して吸収するバネ構造)」を採用し、数ミリの誤差を機械的に吸収する設計を施すことがおすすめとされています。

 

刃具の破損を検知できず不良品を大量に生産してしまう

刃具の寿命管理を、単純な「加工個数」や「累積稼働時間」によるスケジュール管理だけで運用していると、突発的な刃具破損に対応できず不良品を量産する結果に繋がります。加工するワークの材質硬度や切削条件の微細な変化によって、工具寿命は常に変動するからです。

〇原因:
ドリル折れの発生タイミングが想定より早く、折れたまま次の加工に入り、すべてのワークを破損させてしまうプロセス設計の不備にあります。

〇対策:
主軸モーターの負荷をリアルタイム監視するトルク監視システムの導入に加え、同一の予備工具をあらかじめツールマガジンにセットしておく「自動シスター工具選択(予備工具への自動切り替え機能)」の設定が推奨されます。これにより、工具破損を検知した瞬間に予備の同一工具へ切り替えて加工を続行し、ラインを止めずに良品を生産し続けることが期待できます。

 

品種変更時の段取り作業が人手に残る

段取り替え(品種変更時の治具交換やティーチング調整)に膨大な手作業が残っているシステムでは、ロット数が少ない多品種少量生産の現場において無人稼働のメリットを享受できません。品種が変わるたびにオペレーターが長時間の調整作業を行っていたのでは、省人化の効果は相殺されてしまいます。

〇原因:
ワークの形状が変わるたびに、ロボットの爪(ハンド)や加工機側の治具を手動で工具を用いて交換・調整しなければならないハードウェアの制約にあります。

〇対策:
ロボットがプログラム指令によって自ら先端の爪を交換する「オートツールチェンジャー(ATC)」や、空圧・油圧を用いてワンタッチでクランプ(固定)状態を切り替えられる自動治具システムの活用が推奨されます。また、ワークの基準寸法を統一する「マスタパレット方式」を導入し、外段取り化を徹底することがおすすめです。
 

前後工程の自動化(マシンテンディング)については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。

関連記事:
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加工機の無人稼働を支えるマシンテンディングロボットの役割


加工機の無人稼働を実現するためには、ワークの自動供給・搬出だけでなく、加工機や周辺設備を連携させる仕組みが必要です。マシンテンディングロボットは、加工機(CNC)、切り粉洗浄装置、測定器などと連携し、それぞれの進捗や状態に応じて動作することで、安全で安定した無人稼働を支えます。

ここでは、無人稼働における連携の考え方と、TMCシステムの対応範囲を紹介します。

  • 加工機や周辺装置と連携して動作する仕組み
  • TMCシステムによるマシンテンディング構築支援

 

単なるワーク着脱に留まらない周辺装置との「協調動作」

マシンテンディングロボットは、加工機や周辺装置から受け取る信号に従い、ワークの着脱や搬送を行います。ロボットと加工機がそれぞれ個別に動作するのではなく、双方の進捗や安全を確認しながら動作を連動させる「通信制御」の確立が欠かせません。

基本的な動作の流れは、次のように整理できます。

  • 加工機から加工完了の信号を受け取る
  • 自動ドアが開いたことを確認する
  • ロボットが加工済みワークを取り出す
  • 新しいワークを治具やチャックへ設置する
  • ワークの有無や着座状態を確認する
  • ロボットが加工範囲外へ退避した後、加工を再開する
 

「加工完了信号」を受けて「カバー(自動ドア)開」を指示し、全開状態を確認した後にのみロボットが加工室内へ進入する、といったインターロックシーケンスの厳密な設計が必要です。制御する際には、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)を中心とした通信ネットワークを構築します。

 

TMCシステムのマシンテンディング構築における特長

TMCシステムでは、ロボット単体の販売・設置に留まらず、お客様の加工現場が抱える「切り粉」「刃具摩耗」「段取り替え」といった現実の課題をトータルで解決する自動化エンジニアリングを提供しています。長年の制御・ファクトリーオートメーション(FA)の知見を活かし、安全で稼働率の高いマシンテンディングシステムを提案します。

具体的な特長としては、以下の3つが挙げられます。
 

<メーカー不問のCNC通信連携>

主要なCNCメーカーとの高度なインターフェース構築に対応します。既存設備の信号を取り出し、ロボットと緊密に連携させるレトロフィット(後付け自動化)に強みがあります。
 

<周辺プロセスの一体型設計>

チョコ停の最大の原因である切り粉の排除(エアブロー、着座センサー)や、加工後の寸法測定、異常発生時のリモート通知まで、周辺システムをパッケージとして統合設計します。
 

<現場に寄り添う「段階的自動化」の提案>

いきなり大規模なシステムを導入するのではなく、現場の予算や熟練度、ワーク特性に合わせ、まずは「ワーク着脱のみ」から開始し、将来的に「自動測定・補正」へ拡張するロードマップを提示します。
 

TMCシステムのマシンテンディングサービスの特長や導入メリット、具体的な活用例については、以下のページで詳しく紹介しています。マシンテンディングサービスの詳細ページもぜひご覧ください。

加工機の無人稼働に関するよくある質問


加工機の無人稼働を検討する際は、既設機への後付け対応や、多品種少量生産での導入効果について疑問が生じやすくなります。ここでは、加工機の無人化・マシンテンディングシステムの導入前によく確認される2つの質問を紹介します。導入検討時の参考にしてください。

 

ロボット導入のほかに既存の加工機側の改造は必要ですか?

加工機側の改造が必要かどうかは、既設機に備わっている機能や信号入出力の仕様によって異なります。

ロボットと既存の加工機を安全に連動させるためには、加工機側に自動制御が可能なインターフェース(自動ドア、自動チャック等)を追加する「レトロフィット(後付け改造)工事」が必要になります。手動式のチャックや扉のままでは、ロボットによるワーク着脱を自動化できません。

具体的には、以下の3点のご対応(または弊社へのご依頼)が必要です。

  • 自動ドア化:電気信号によって自動開閉するエアシリンダー式やモーター駆動式のドアへの変更。
  • 自動チャック(クランプ)化:空圧または油圧によって作動する自動クランプ治具の導入。
  • 信号取り出し工事:加工機の電気回路(盤)から、起動、停止、異常、扉開閉状態などのI/O(入出力)信号を取り出し、ロボット側のコントローラと結線する電気設計。
 

これらは既存の加工機メーカーへの相談、あるいは弊社のような自動化の専門家に依頼してワンストップで対応することが推奨されます。

 

多品種少量生産でも無人化による投資回収は可能ですか?

多品種少量生産の現場であっても、ワークを保持する「爪(ハンド)の共通化設計」や、ワーク着座基準を統一する「マスタパレット(ベースプレート)方式」を採用することで、投資回収は十分に可能です。ロット数が少ないからといって自動化を諦める必要はありません。

初期の設備投資額は、ロボットのオートツールチェンジャーや共通治具の追加により、単一品種向けシステムと比較して高くなる傾向があります。一方で、夜間無人運転による加工可能時間の拡大や、段取り替え作業の外段取り化により、生産性の向上や人的工数の削減が期待できます。投資回収期間は、対象ワークや生産量、設備構成などによって異なるため、導入前に個別のシミュレーションが必要です。
 

まとめ|自社のボトルネックを解消して加工機の無人運転を実現しよう

加工機の夜間無人化は、単に高価なロボットを購入するだけで実現できるものではなく、現場固有の課題(ボトルネック)を特定し、段階的にリスク対策を施すことで初めて安全に成功するといえます。「切り粉」「刃具管理」「段取り替え」といった各現場の懸念点に対し、加工機の無人稼働に必要な5つの条件を参考に、自社に合った仕組みを取り入れることが解決への道筋と考えられます。

無人化に向けた第一歩として、まずは現在の現場において「自動化を阻む最大の障壁は何か」を棚卸しすることをおすすめします。課題が明確になれば、対策すべきシステム構成や優先順位を論理的に決定できます。

弊社では、加工機の無人化・マシンテンディング導入を検討されているご担当者様向けに、導入の流れや構成パターン、投資対効果(ROI)のシミュレーション方法を体系的にまとめた資料をご用意しています。加工機の無人稼働に必要な5つの条件を、自社ではどのように実現すべきか整理したい方は、ぜひ以下の『マシンテンディング導入ガイド』をご活用ください。

 

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マシンテンディングの導入をお考えの方へ。基礎知識、導入スケジュール、費用対効果を解説。導入成功のポイントがわかるガイドです。(全14ページ)

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