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セキュリティ対策は万全?遠隔監視システム導入時の注意点と選び方

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IoT技術の発展により、製造現場の監視システムも大きく変わってきています。従来は現場でしか確認できなかった設備の状態が、今ではパソコン・スマートフォンを通じて手軽に把握できるようになりました。今回は、遠隔監視システムの基本から導入時の注意点までを紹介します。

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遠隔監視システムとは

遠隔監視システムの基本

遠隔監視システムは、インターネットなどのネットワークを介して、離れた場所にある設備や機器の状態をリアルタイムに監視・制御できるシステムです。たとえば、スマートフォンやパソコンから工場の生産ラインの稼働状況を確認したり、ビルの空調設備の温度を遠隔で調整したりすることができます。 従来の設備管理では、監視カメラやセンサーの情報を確認するために必ず現地に赴く必要があり、24時間体制での監視には人員の常駐が不可欠でした。しかし、遠隔監視システムの導入により、以下のような大きなメリットが得られます。

    • 人的負担の軽減と人件費削減:
      常駐監視員が不要となります。また複数の施設を1人の管理者が監視するなど効率的な人的配置が可能となります。
    • 迅速な異常検知と対応:
      センサーやカメラからのデータをリアルタイムで分析し、異常を早期に発見できます。警報機能と組み合わせることで、トラブル発生時にも素早い対応が可能です。
    • 設備の予知保全:
      収集したデータを分析することで、故障の予兆を検知し、計画的なメンテナンスが実施できます。これにより、突発的な設備停止を防ぎ、稼働率の向上につながります。

 

遠隔監視システムの活用される産業分野

製造業での活用

製造業では、生産現場の可視化とデータ活用による革新的な取り組みが進んでいます。たとえば、自動車部品工場では、成形機の金型温度や射出圧力、サイクルタイムなどの製造パラメータをリアルタイムで監視することで、製品品質の安定化を実現しています。また、製造ラインの各工程にカメラを設置することでライン停止などの異常が発生した際には、該当エリアの映像をすぐに確認でき、迅速なトラブル対応を実現しています。

他産業での活用

上下水道などのインフラ施設では、水質センサーや流量計からのデータを常時監視し、水質異常の早期発見や配水量の最適化に活用しています。小売業では冷蔵・冷凍設備の温度管理など、各分野特有のニーズに応じた活用が進んでいます。 このように、遠隔監視システムは、各産業の特性や課題に応じて活用され、施設全体の状況把握や安全管理、業務効率化など、様々な面で重要な役割を果たしています。特に製造業では、複数の製造拠点や広大な工場内の一元管理を実現し、効率的な運営管理を可能にしています。

遠隔監視システム導入前に確認すること

遠隔監視システムの導入を検討する際、最初に直面するのが製品選定です。市場には様々なシステムが存在しますが、自社に最適なものを選ぶために、いくつかの重要なポイントがあります。
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監視したい対象の明確化

システム選定の第一歩は、具体的な監視要件の整理です。たとえば、プレス機の稼働状況を監視する場合、単純な稼働・停止の状態確認だけでなく、金型の温度変化や振動値なども監視したいかもしれません。また、昼間の有人時間帯と夜間の無人時間帯で、異常検知の基準を変えたいというケースもあるでしょう。
こうした要件を整理することで、必要な機能が明確になり、過剰な投資を避けることができます。監視カメラの解像度や設置位置、センサーの種類、データの保存期間など、具体的な仕様を決める際の指針にもなります。

システムの拡張性と互換性

製造現場は常に進化しています。最初は1つのラインだけの監視でスタートしても、効果が実証されれば他のラインにも展開したくなるものです。そのため、将来の拡張を見据えたシステム選びが重要になります。
特に注意したいのが、既存設備との接続性です。生産設備によっては独自システムを使用しているケースもあり、接続のために追加の機器が必要になることもあります。導入前には改めて既存機器と既存システムについて詳細な確認を取ることをお勧めします。

セキュリティ対策の確認

インターネットを使用した遠隔監視では、セキュリティ対策が不可欠です。特に製造現場の重要なデータを扱う場合、情報漏洩や不正アクセスのリスクに十分な注意が必要です。導入を検討するシステムには、どのようなセキュリティ機能が備わっているのか、しっかりと確認しましょう。

セキュリティ対策の重要性

遠隔監視システムの導入でセキュリティ対策は最重要課題として考える必要があります。セキュリティの穴があれば、製造現場の重要なデータが外部に流出したり、生産システムが不正にアクセスされたりするリスクがあります。最悪の場合、生産ラインの停止を引き起こし、多大な損失につながる可能性もあります。
特に注意が必要なのは、セキュリティ対策は技術面だけでは十分ではないという点です。いくら高度なセキュリティシステムを導入しても、パスワードの使い回しや、不審なメールの安易なクリックといった人為的なミスにより、セキュリティが破られるケースは少なくありません。
そのため、遠隔監視システムのセキュリティ対策は、「技術」と「運用」の両面から考える必要があります。
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技術面でのセキュリティ対策

通信の暗号化

インターネットを介したデータのやり取りには、必ず暗号化が必要です。特に機密性の高いデータを扱う場合は、以下の対策が重要です。

  • 社外からのアクセスにはVPNを必須化
  • データ通信にはSSL/TLS暗号化を採用
  • 通信ポートは必要最小限のみを開放

セキュリティソフトの導入

システムを外部からの脅威から守るため、適切なセキュリティソフトの導入が欠かせません。

  • 信頼性の高いアンチウイルスソフトの導入
  • マルウェア対策ソフトの導入
  • 不正アクセス検知システム(IDS/IPS)の導入
  • セキュリティソフトの定義ファイルは常に最新の状態に維持

システムの脆弱性対策

システムの脆弱性を放置すると、セキュリティホールとなってしまいます。定期的なメンテナンスで、以下の対策を実施しましょう。

  • OSやアプリケーションの定期的なアップデート
  • セキュリティパッチの適用
  • 未使用のサービスやアプリケーションの停止
  • 定期的な脆弱性診断の実施

運用面でのセキュリティ対策

アクセス制限

システムへのアクセスは、適切な権限を持つユーザーのみに制限する必要があります。

  • 利用者ごとに固有のIDを発行し、共有アカウントの利用を禁止
  • パスワードは8文字以上の英数字記号を組み合わせた強固なものを使用
  • 90日ごとのパスワード変更を義務付け
  • アクセス権限は業務上必要最小限の範囲に制限
  • 重要な操作には二要素認証を導入

セキュリティ教育と運用ルール

技術的な対策だけでなく、システムを使用する人員への教育も重要です。

  • セキュリティ意識向上のための定期的な研修実施
  • インシデント発生時の対応手順の明確化
  • 定期的なセキュリティ監査の実施
  • アクセスログの定期的なチェック
  • 退職者のアカウント管理の徹底

これらの対策は、一度導入して終わりではありません。定期的な見直しと更新が必要です。特に製造現場では、生産活動に影響を与えないよう、計画的に対策を実施することが大切です。

遠隔監視システムに関するご相談は、TMCシステムへ

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TMCシステムでは、お客様の設備特性や運用要件に合わせた最適なシステムをご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。

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