試験機開発の進め方|要求仕様とオーダーメイド設計・製作のポイント

市販の試験機では必要な試験条件を再現できない、独自の評価方法に対応したい、試験と計測・制御を一つのシステムにまとめたい。このような場合には、目的に合わせて専用の試験機を開発する方法があります。
オーダーメイドの試験機を開発する際に重要なのは、最初から装置の機構や使用する機器を決めることではありません。まず、「何を評価したいのか」「どのような条件を再現するのか」「どのデータを取得したいのか」を整理し、試験の目的から要求仕様へ落とし込んでいく必要があります。
本記事では、オーダーメイド試験機が必要になるケースから、開発前に整理したい要求仕様、設計・製作の進め方まで解説します。
試験機・測定機の開発をすぐに検討したい方へ
TMCシステムでは、要求仕様がまだ固まりきっていない段階からご相談いただけます。 試験内容や実現したいことを伺いながら、必要な要件を整理し、装置の仕様や構成を具体化していきます。お見積もりをご検討中の方もお気軽にお問い合わせください。
オーダーメイドの試験機開発が必要になるケース

試験機とは、製品や材料、部品などに一定の条件や負荷を与え、その結果を測定・観察するための装置です。
市販されている試験機で目的を満たせることもありますが、試験対象や評価方法によっては、既製品だけでは対応が難しいケースがあります。
市販の試験機では必要な試験条件に対応できない
既製の試験機には、対応できる試験方法や荷重、速度、ストローク、試験対象のサイズなどに一定の仕様があります。
たとえば、試験対象が特殊な形状をしている、複数方向から荷重を加えたい、特定の動きを繰り返し再現したいといった場合には、市販機の標準仕様だけでは目的を満たせないことがあります。
ただし、市販機で対応できないからといって、必ずしも装置全体を新規開発する必要があるとは限りません。既製の機器を活用し、一部を専用設計する方法もあります。
そのため、必要な試験条件を整理したうえで、既製品で対応できる範囲と専用設計が必要な範囲を検討します。
独自の評価方法・試験方法を実現したい
新製品や新素材の開発では、一般的な試験規格だけでは確認できない特性を評価したいことがあります。
たとえば、実際の使用環境を想定した複数の負荷を組み合わせる、独自の動作パターンを再現する、試験中の状態変化を画像と測定値の両方から確認するといったケースです。
このような試験では、既存の試験方法に装置を合わせるのではなく、評価したい現象から逆算して試験方法と装置仕様を検討する必要があります。
試験・計測・制御を一つのシステムにまとめたい
専用試験機では、対象物に負荷を与える機構だけでなく、測定や記録、制御まで一体化するケースがあります。
たとえば、モーターやアクチュエーターを指定した条件で動作させながら、センサーから荷重や変位を取得したり、カメラで試験中の状態を記録したりする構成です。試験条件を操作画面から設定し、測定データを保存して後から解析できるようにする場合もあります。
TMCシステムでは、各種モーター・自動ステージ・測定デバイスを組み込んだ装置を制御するPLC、マイコン、PC制御ソフトウェアの開発実績があります。
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試験機開発で最初に整理したい要求仕様
専用試験機の要求仕様では、試験条件、測定性能、治具、計測・制御方法など、複数の要素を整理します。ここでは、開発前に確認したい主な項目を解説します。
試験の目的と評価項目
最初に明確にするのは、装置の仕様ではなく試験の目的です。
たとえば「耐久性を評価したい」というだけでは、試験機の仕様を決めるには十分ではありません。
同じ耐久性評価でも、何に対する耐久性を確認したいのか、どのような負荷を与えるのか、何回またはどの程度の時間試験するのか、何を測定するのかによって必要な装置は変わります。
まず「この試験によって何を判断したいのか」を明確にし、そこから必要な評価項目や試験条件を整理します。
試験対象と試験条件
次に、試験対象となるワークと試験条件を整理します。
試験対象については、材質、形状、寸法、重量などが装置設計に関係します。試験内容に応じて、荷重、速度、変位量、繰り返し回数、温度などの条件も設定します。
すべての項目を細かく決めるのではなく、試験結果に影響する条件を明確にすることが重要です。
また、複数種類のワークを一台の試験機で評価する場合は、対象ごとの寸法や試験条件の違いも確認しておきます。
測定範囲・精度と試験条件の再現性
何を測定するかが決まったら、必要な測定範囲や精度を検討します。
測定機器は高性能であればよいとは限りません。必要以上に厳しい性能を設定すると、センサーや機構などの選定条件が変わり、装置構成やコストにも影響します。
そのため、どの程度の変化を捉える必要があるのか、評価に必要な分解能や精度はどの程度かを、試験目的から整理します。
また、試験結果を比較するためには、測定機器の性能だけでなく、ワークのセット方法や試験条件など、結果のばらつきにつながる要因にも注意が必要です。同じ条件で試験を繰り返せるよう、試験方法そのものの再現性も考慮します。
ワークの保持方法・治具
専用試験機を開発する際には、試験機本体だけでなく治具の設計も重要です。
たとえば、同じ方向から荷重を加える試験でも、ワークの固定位置や姿勢が変われば、試験条件に影響する可能性があります。
どの部分を保持するのか、どの姿勢で試験するのか、試験中にワークがずれないか、どのように着脱するのかなどを確認します。
複数のサイズや形状に対応する場合は、治具交換の方法も検討が必要です。試験を繰り返し行う場合は、ワーク交換や位置決めのしやすさも実際の運用に関わります。
センサー・計測方法とデータ取得
試験中に取得する情報によって、必要なセンサーや計測機器も変わります。
評価対象に応じて、荷重、変位、温度、圧力、画像などを取得し、必要に応じて複数のデータを組み合わせます。
さらに、測定方法だけでなく、その後のデータ利用まで考えておくことが重要です。
試験中に数値を確認できればよいのか、結果を保存するのか、複数回の結果を比較するのか、画像と測定値を同期して解析するのかによって、必要なシステム構成は異なります。
TMCシステムが開発した「疲労破壊観察システム」では、動画・荷重・変位を同期して記録・再生し、測定値に変化が見られたときに動画から現象を確認できる構成となっています。
操作・制御方法
試験条件によっては、人が手動で操作するだけでなく、自動制御が必要になります。
たとえば、設定した速度で移動する、指定した回数だけ動作を繰り返す、測定値が一定条件に達したら動作を停止する、複数軸を決められた順序で動かすといった制御です。
試験条件を操作画面から変更する仕組みが必要になる場合もあります。
装置の動作と計測を連携させる場合は、必要な制御内容や操作方法を要求仕様として整理します。
設置環境と安全条件
装置の設計では、試験内容だけでなく実際に設置する環境も確認します。
装置を設置できるスペースや電源などの条件に加え、試験中に発生する荷重、可動部、温度などに応じて必要な安全対策を検討します。
既存設備やほかの計測機器と接続する場合は、装置単体だけでなく周辺設備との配置や接続方法も事前に整理しておくと、構想を検討しやすくなります。
試験機開発の要求仕様チェックリスト
ここまでの内容を整理すると、開発会社へ相談する際に確認しておきたい主な項目は以下のとおりです。
| 項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 試験目的 | 何を評価・確認したいか |
| 試験対象 | 材質、形状、寸法、重量など |
| 試験条件 | 荷重、速度、変位、回数、温度など |
| 測定内容 | 何をどのように測定するか |
| 必要性能 | 測定範囲、精度、再現性など |
| 治具 | ワークの固定・位置決め・交換方法 |
| データ | 表示、保存、解析などの方法 |
| 操作・制御 | 手動/自動、動作パターンなど |
| 設置条件 | スペース、電源、使用環境など |
| その他 | 納期、予算、将来的な試験条件の変更など |
これらをすべて発注側で確定させてから相談する必要はありません。試験目的や確認したい内容を整理したうえで、開発会社と相談しながら要求仕様を具体化していく方法もあります。
また、将来的にワークの種類が増える、試験条件が変更されるなど、現時点で想定できる変更がある場合は、構想段階で共有しておくとよいでしょう。想定される変更を踏まえて、治具や条件設定などの構成を検討できます。
試験機開発の進め方

要求仕様として整理した内容を、実際の装置構成へ落とし込んでいきます。
オーダーメイド試験機の開発方法は案件によって異なりますが、基本的には、要求仕様の具体化から構想、設計、製作、検証へと進めます。
1.要求仕様を具体化する
前章で整理した試験目的や試験条件、測定内容などをもとに、開発する試験機の要求仕様を具体化します。
この段階では、「必ず満たしたい条件」と「調整可能な条件」を分けておくと、その後の構想を検討しやすくなります。
2.構想・試験方法を検討する
要求仕様をもとに、試験をどのような方法で実現するかを検討します。
必要な機構、駆動方式、センサー、治具、制御方法などを組み合わせ、装置全体の構想を決めます。
技術的に実現できるか不確定な要素がある場合は、必要に応じて事前検証を行い、成立性を確認してから詳細設計へ進みます。
3.機械・電気・制御・ソフトウェアを設計する
構想が固まったら、機械設計、電気設計、制御設計、必要に応じてPCなどのソフトウェア設計へ進みます。
専用試験機では、それぞれを個別に設計するだけでなく、装置全体として整合させることが重要です。
たとえば、センサーの測定値をもとに装置を動作させる場合は、計測機器の選定に加えて、制御ロジックや通信方法まで含めて設計します。
4.製作・組立・調整を行う
設計内容をもとに部品を製作し、機器の組立、配線、ソフトウェアの実装などを行います。
組み上がった後は、各機構やセンサーが想定どおりに動作するかを確認しながら調整します。
5.要求仕様を満たしているか検証する
製作後は、装置の動作確認に加えて、開発前に定めた要求仕様を満たしているかを検証します。
必要に応じて実際の試験対象を使用し、要求した動作、試験条件、測定範囲などを満たしているか確認します。
依頼先を検討する際の対応範囲や確認ポイントについては、「セットメーカーの選び方」の記事で詳しく解説しています。
試験機開発の費用・開発期間を左右する要素
オーダーメイド試験機の費用や開発期間は、装置の仕様によって異なります。
特に、以下のような要素によって設計・製作の範囲が変わります。
| 要素 | 費用・開発期間に影響する主な理由 |
|---|---|
| 試験内容 | 必要な機構・駆動方式が変わる |
| 試験条件 | 荷重、速度、ストロークなどによって機器構成が変わる |
| 測定性能 | 必要なセンサーや機械精度が変わる |
| 治具 | ワークに合わせた個別設計・製作が必要になる場合がある |
| 制御・ソフトウェア | 自動運転やデータ処理などの開発範囲が変わる |
| 検証内容 | 動作確認に加えて試験条件の確認・調整が必要になる |
| 既製品の活用 | 市販機器を利用できる範囲によって設計・製作範囲が変わる |
費用だけを抑えるために機能を削るのではなく、試験目的に必要な性能を明確にし、必要な機能と不要な機能を切り分けることが重要です。
TMCシステムの試験・測定装置開発

TMCシステムでは、機械設計・電気設計・制御設計・ソフトウェア開発のエンジニアが連携し、試験機・測定機をはじめとした各種装置の開発に対応しています。
企画段階から設計、製作、組立、据付までワンストップで対応しており、試験内容や要望をもとに装置構成を提案・設計します。
開発実績の一例が、「変形形状測定システム」と「疲労破壊観察システム」です。
変形形状測定システムでは、サンプルにX方向・Z方向の引張荷重を与え、高速度カメラで撮影した動画を画像処理して変形量を測定します。画像と荷重データを同期して表示し、変形量を数値やグラフでも確認できる構成です。
疲労破壊観察システムでは、サンプルへ繰り返し引張荷重を与え、動画・荷重・変位を同期記録します。測定データと動画を照らし合わせながら、疲労破壊時の現象を確認できます。
その他の装置開発実績については、装置開発事例ページで紹介しています。
市販の試験機では必要な条件に対応できない場合や、試験方法は決まっているものの装置仕様へ落とし込めていない場合など、試験内容をもとに装置構成をご提案します。装置導入の実績をまとめた資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。

まとめ
オーダーメイドの試験機を開発する際は、最初から装置の構造や使用機器を決めるのではなく、まず試験の目的を明確にすることが重要です。
そのうえで、試験対象、試験条件、測定範囲・精度、治具、センサー、制御、データ取得などの要求仕様を整理し、装置構成へ落とし込んでいきます。
TMCシステムでは、要求仕様がまだ固まりきっていない段階からご相談いただけます。試験内容や実現したいことを伺いながら、必要な要件を整理し、装置の仕様や構成を具体化していきます。
専用試験機・測定機の開発をご検討の方は、お気軽にご相談ください。





