工場自動化はどこから始めるべきか?進め方と成功事例を解説

工場自動化を進めるうえでは、どの工程を、どこまで自動化するかが重要なポイントです。既存設備を活かすかどうかも含め、自動化する範囲によって設備構成や投資規模は変わります。
そのため、工程ごとの課題やワーク、生産条件、前後工程とのつながりを整理し、期待できる効果や自動化の実現性を踏まえて優先順位をつけることが大切です。
本記事では、自動化の対象となる代表的な工程から、自動化する工程の優先順位を決めるポイント、具体的な進め方、メリットや導入時の注意点、成功事例まで解説します。
工場自動化を検討している方へ
TMCシステムでは、製造現場の課題に合わせた自動化・省力化設備をオーダーメイドで設計・製作しています。
実際の装置導入事例をまとめた資料をご用意していますので、自社でどのような自動化ができるか検討する際にご活用ください。

現場の課題やご予算に合わせて、既存設備の活用や部分自動化も含めた設備構成をご提案します。
目次
工場自動化(FA)とは
改めて工場自動化の範囲を整理すると、加工や組立だけでなく、材料・部品の搬送、検査、梱包・パレタイズなど、製造に関わるさまざまな工程が対象になります。工場自動化はファクトリーオートメーション(Factory Automation)、略してFAとも呼ばれます。
工場自動化では、対象となる工程に合わせて、ロボットや専用機、センサー、制御機器、画像処理、搬送設備などを組み合わせ、一連の作業が成立する自動化システムを構築します。
また、工場自動化は人手不足への対応だけを目的とするものではありません。生産性の向上や品質・納期の安定を図り、限られた人員でも生産を維持できる体制づくりにもつながります。こうした生産体制の強化によって、企業の競争力も高まります。
工場で自動化できる主な工程

工場では、加工・組立・搬送・検査・梱包など、幅広い工程を自動化できます。ここでは、代表的な工程を紹介します。
| 工程 | 主な自動化例 |
|---|---|
| 加工 | 工作機械へのワーク供給・取り出し |
| 組立 | 圧入、ねじ締め、組付け、部品供給 |
| 搬送・物流 | AGV・AMR、コンベヤ、工程間搬送 |
| 検査 | 外観検査、寸法確認、部品の有無・欠品確認 |
| 梱包・パレタイズ | 箱詰め、梱包、積み付け |
加工工程の自動化
加工工程では、工作機械へのワークの供給や取り出しなどを自動化できます。
代表的なのが「マシンテンディング」です。ロボットを使って加工前のワークを工作機械へセットし、加工後のワークを取り出すことで、作業者が工作機械に付き続ける時間を減らし、設備の連続稼働につなげられます。
関連記事:工作機のマシンテンディングとは?自動化の課題とロボット導入事例
組立工程の自動化
組立工程では、部品供給、位置決め、挿入、圧入、ねじ締め、組付けなどを自動化できます。
一つの作業だけを設備化するほか、圧入から組付け、検査まで複数の作業を一つの装置にまとめる方法もあります。
関連記事:組立自動化の最適解とは?完全自動化と半自動化の違いと選定基準
工場内の搬送・物流工程の自動化
原材料や部品の供給、工程間搬送、完成品の搬送、工場内倉庫との搬出入なども自動化できます。
代表的な設備には、コンベヤ、AGV(無人搬送車)、AMR(自律走行搬送ロボット)などがあります。
関連記事:構内物流とは?役割から課題・改善策・自動化まで解説
検査工程の自動化
外観検査、寸法確認、部品の有無・欠品確認、組付け状態の確認なども自動化できます。
検査内容に応じて、カメラ、画像処理、AI、各種センサーなどを活用します。また、固定カメラでは確認しにくい面を持つワークでは、ロボットを使ってカメラやワークの位置・角度を変え、多方向から撮像する方法もあります。
関連記事:検査自動化とは?必要とされる理由やメリット、導入手順を解説
溶接部品の外観検査を検討している方は、「溶接ビード外観検査 自動化ガイド」もご覧ください。
梱包・パレタイズ工程の自動化
製品の箱詰めや梱包、パレットへの積み付けなども自動化できます。
特に、重量物を繰り返し持ち上げる作業や、一定のパターンで製品を積み付ける作業では、ロボットなどを活用することで作業者の負担を軽減できます。
自動化する工程の優先順位を決めるポイント

工場で自動化できる工程は幅広いため、現場の課題、期待できる効果、自動化の実現性を踏まえて優先順位を決めることが重要です。
1.課題が大きい工程を洗い出す
まずは、現場で次のような課題がある工程を洗い出します。
| 確認するポイント | 現場で確認する内容 |
|---|---|
| 人手が多くかかっている | 常時人員を配置している、機械に作業者が付き続けている |
| 反復作業が多い | ワーク着脱、搬送、組付けなど同じ動作を繰り返している |
| ボトルネックになっている | 特定工程の処理が遅く、前後工程に待ちが発生している |
| 品質にばらつきがある | 作業者による差が大きい、熟練者の判断に依存している |
| 作業負担が大きい | 重量物の運搬、繰り返し動作、危険を伴う作業がある |
このような課題がある工程を、自動化の候補として整理します。
2.期待できる効果を確認する
候補となる工程について、省人化、生産性向上、品質の安定、作業負担の軽減など、自動化によってどのような改善が期待できるかを確認します。
3.自動化の実現性を確認する
候補となる工程について、技術的に自動化できるかを確認します。
課題が大きく、期待できる効果が高い工程であっても、作業条件によって設備が複雑になり、必要な投資が大きくなる場合があります。
課題の大きさ、期待できる効果、実現性を総合して、自動化する工程の優先順位を決定します。
工場自動化の進め方

自動化する工程が決まったら、具体的な作業条件を整理し、自動化する範囲や設備構成を固めていきます。ここからは、設備導入までの進め方を順に見ていきます。
1.対象工程の条件を整理する
対象工程について、設備を設計するために必要な条件を整理します。
主な確認項目は、ワークの種類・形状・重量、生産量、タクトタイム、要求精度、品種切替、設置スペース、前後工程、既存設備との連携などです。
2.自動化する範囲と設備構成を決める
工程のすべてを自動化するのか、一部を自動化するのかを決め、必要な設備構成を検討します。
対象工程によって、専用機、ロボット、AGV・AMR、コンベヤ、カメラ、画像処理、各種センサーなどを組み合わせます。
高機能な設備や完全自動化が最適とは限りません。求める生産性や品質、ご予算を踏まえ、既存設備の活用や部分自動化も含めて、導入効果とコストのバランスを考えます。
3.構想設計と仕様を固める
自動化する範囲と設備構成が決まったら、ワークの供給・排出方法、設備レイアウト、前後工程との受け渡し、既存設備との信号連携、安全対策などを具体化し、設備仕様を固めます。
4.設計・製作・立ち上げを行う
仕様をもとに、機械・電気・制御設計、製作、組立、動作確認を進め、工場へ据え付けます。
現地では設備単体の動作だけでなく、前後工程を含めて一連の生産が成立するかを確認します。
5.導入効果を確認し改善する
設備の稼働後は、生産タクトや停止時間、品質、作業工数などを確認し、想定していた導入効果が得られているかを評価します。
必要に応じて設備の動作条件や運用方法を見直し、安定稼働につなげます。
工場自動化のメリット

工場自動化によって期待できる効果は、対象工程や自動化する範囲によって異なりますが、ここでは代表的な4つのメリットを紹介します。
人手不足への対応・省人化
ワークの着脱や搬送など、人が継続的に担当している作業を自動化することで、工程に必要な人員を抑えやすくなります。
特に、作業者が設備に付き続ける工程や夜間にも人員を必要とする工程では、限られた人員でも生産を維持しやすくなります。
生産性の向上
一定のサイクルで作業を行える設備を導入することで、人による作業速度の差を抑え、安定した生産につなげられます。
また、作業内容や設備構成によっては、夜間や休日の連続稼働など、生産時間を拡大できる場合もあります。
品質の安定化
組立や塗布、検査など、作業者の経験や判断によって結果に差が生じやすい作業を自動化することで、作業条件を一定に保ちやすくなります。
熟練者への依存を減らしたり、人による作業・判定のばらつきを抑えたりすることにもつながります。
作業者の負担や危険作業の軽減
重量物の運搬、繰り返し作業、高温・薬品などを扱う工程を自動化することで、作業者の身体的な負担を軽減し、危険を伴う作業に従事する機会を減らせます。
こうした負担の軽減は、働きやすい職場環境づくりにもつながります。また、単純・反復作業を設備に任せることで、作業者を品質改善や設備改善、生産管理など、判断や技能を必要とする業務に振り向けやすくなります。
工場自動化の課題と導入時の注意点

工場自動化には多くのメリットがある一方、導入には初期費用がかかり、既存設備との連携や設置スペース、導入後の保守・運用なども考える必要があります。
期待する効果を得るためにも、導入前に主な課題と注意点を把握しておきましょう。
ワークや作業条件によって設備構成が変わる
同じ反復作業でも、ワークの形状や位置のばらつき、変形のしやすさ、品種数などによって、把持や位置決め、品種切替への対応が必要になります。
対象となるワークや実際の作業条件を確認し、自動化に必要な機構や設備仕様を具体化する必要があります。
前後工程や既存設備との連携が必要になる
自動化設備単体が正常に動作していても、前工程からワークを受け取れない、後工程へ渡せない状態では、生産工程として成立しません。
既存設備を利用する場合は、設備間の信号連携やインターフェースについても確認します。
設置スペースや安全対策を考える必要がある
ロボットや装置本体だけでなく、ワーク供給設備、安全設備、作業者の通路、メンテナンススペースなども必要になります。
構想段階から現場のレイアウトを確認し、設備の設置や運用に必要なスペースを確保します。
導入コストと費用対効果を確認する
自動化設備の導入には、装置本体だけでなく、周辺設備や既存設備との連携対応、設置工事などの費用もかかります。
初期費用だけで判断するのではなく、省人化による工数削減、生産性や稼働率の向上、品質の安定など、導入によって得られる効果も含めて費用対効果を確認することが重要です。
関連記事:自動化にかかる費用やROIの考え方については、「生産ライン自動化」の記事で詳しく解説しています。
導入後の保守・運用も考えておく
自動化設備は、導入後も点検や消耗部品の交換、不具合時の復旧、品種追加・仕様変更への対応などが必要です。
導入前から、保守方法やトラブル時の対応、社内の運用体制についても整理しておきましょう。
工場自動化の成功事例
ここからは、TMCシステムが手がけた工場自動化の事例を、加工・組立・搬送・検査の工程別に紹介します。

加工|既存加工機へのワーク供給・回収を自動化
外部通信機能を持たない30年以上前の加工機だったため、ロボットとの連携が課題となっていました。
加工開始ボタンの配線を改造し、加工機の状態信号を取得してロボットと連携させることで、既存の加工機を活かしながらワークの供給・回収を自動化しました。
関連サービス:図面のない機械部品を現物から復元するリバースエンジニアリング
組立|圧入から半田付けまでを一つの装置で自動化
レーザー光源部品の圧入・組立では、人作業による組立精度のばらつきが課題となっていました。
圧入・組立から基板の半田付けまでを一つの装置に集約し、人作業によるばらつきを抑えて品質を均一化するとともに、複数工程の一体化を実現しました。
搬送|AMRと工作機械を連携して搬送工程を無人化
慢性的な人手不足により、工程間の部品搬送がボトルネックとなっていました。
AMRの制御と工作機械のPLCを連携させ、加工後のワーク搬送や工作機械との受け渡しを自動化することで、工程間搬送の無人化・省人化を実現しました。
検査|AI外観検査で微細な欠陥を高精度に判定
目視によるインライン検査では、微細な欠陥の見逃し防止と、多品種少量生産への対応が課題となっていました。
AIを活用したインライン外観検査システムを導入し、微細な欠陥を高精度に判定するとともに、多品種への設定変更にも対応することで、検査作業の負担軽減につなげました。
さらに詳しい装置導入事例を見る
製造現場の課題を装置導入によってどのように解決したのか、TMCシステムの事例をまとめた資料をご用意しています。

工場自動化ならTMCシステムにご相談ください
TMCシステムでは、現場ごとの条件に合わせた自動化設備をオーダーメイドで設計・製作しています。ワークに合わせた治具や供給・排出機構、搬送設備、前後工程や既存設備との連携まで含めて、システム全体を設計します。
また、ご予算や求める効果に応じて、既存設備の活用や部分自動化も含めた設備構成をご提案します。構想段階から設計・製作、据付、保守・メンテナンスまで一貫して対応しているため、「どの工程から自動化すべきかわからない」といった初期のご相談にも対応しています。





