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工程改善とは?製造業で使われる手法と進め方5ステップ、改善例を解説

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製造現場では、人手不足への対応や生産性向上、品質の安定化、コスト削減などを目的に、日々さまざまな改善活動が行われています。個々の作業を見直すだけでなく、複数の工程を含む製造の流れそのものを見直すのが「工程改善」です。

工程改善では、目の前の作業を速くすることだけを目的にせず、どこに待ち時間や滞留、負荷の偏り、不良の発生要因があるのかを整理し、工程全体として改善効果が得られる方法を検討します。

この記事では、工程改善の基本的な考え方、代表的な手法、5つの進め方、製造現場で考えられる改善例を解説します。あわせて、設備の見える化や自動化を工程改善に取り入れる際のポイントも紹介します。

 

工程改善とは?作業改善との違い

工程改善を進めるうえでは、個々の作業を対象にする「作業改善」と、工程全体の流れを対象にする「工程改善」の違いを整理しておくと、改善対象を決めやすくなります。

工程改善の基本的な考え方

本記事では工程改善を、製造工程全体の流れを見直し、ムダ・ムラ・ムリを減らすことで、QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)や生産性の向上を図る取り組みとして扱います。

例えば、ある工程だけの作業時間を短縮しても、後工程の処理能力が不足していれば仕掛品が滞留し、ライン全体の生産量は伸びないことがあります。そのため、工程ごとの能力、ワークの流れ、待ち時間、設備配置、品質情報などを横断して確認することが重要です。

作業改善との違い

作業改善と工程改善は対象範囲が異なります。実務ではどちらか一方に限定するのではなく、工程全体の課題を把握したうえで、必要な作業改善を組み合わせて進めます。

観点 作業改善 工程改善
主な対象 個々の作業・動作・手順 複数工程を含む流れ、設備配置、工程間の受け渡し
課題の例 探す、持ち替える、移動が多い、姿勢に無理がある 手待ち、仕掛品の滞留、工程能力の差、前後工程の連携不足
改善の例 工具の定位置化、作業手順・治具の見直し ラインバランスの見直し、レイアウト変更、搬送・供給の自動化

工程改善が求められる背景

製造現場では、限られた人員・設備で安定した生産を続けるため、工程全体の生産性を高める必要性が増しています。工程改善を検討する主な背景には、次のようなものがあります。

  • 人材確保が難しいなかで、限られた人員を有効に配置したい
  • 原材料費・エネルギーコストなどの上昇に対して、生産効率を見直したい
  • 多品種化や短納期化に対応しながら、工程間の滞留や待ち時間を減らしたい
  • 品質のばらつきや不良の発生要因を把握し、安定した工程をつくりたい

ただし、改善活動では「自動化する」「作業時間を短くする」といった手段を先に決めるのではなく、まず現状のどこに課題があるのかを整理することが出発点になります。

工程改善で使われる代表的な4つの手法

工程改善では、課題の発見や改善案の検討にさまざまな手法が使われます。ここでは、現場で検討の軸にしやすい代表的な4つを紹介します。

ECRS(イクルス)

ECRSは、工程や作業を見直す際に「排除・結合・交換・簡素化」の順で検討する考え方です。現状の作業をそのまま効率化する前に、そもそも必要な工程・作業なのかを確認できる点が特徴です。

項目 意味 検討例
Eliminate(排除) 不要な工程・作業をなくせないか 重複している記録や転記作業を省けないか
Combine(結合) 複数の工程・作業をまとめられないか 運搬と次工程への供給を連続して行えないか
Rearrange(交換) 順序・配置・担当などを入れ替えられないか 設備配置や作業順を変えて移動・待ちを減らせないか
Simplify(簡素化) 作業をより単純にできないか 治具で位置決めを簡単にする、定型作業を自動化する

ECRSを使う際は、品質や安全上必要な工程を安易に省くのではなく、要求仕様や管理基準を満たすことを前提に検討します。

5S活動

5Sは、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5つを通じて、作業環境や管理状態を整える活動です。工程改善では、工具や部材の置き場、通路、設備周辺の状態を整えることで、探す・移動する・異常を見落とすといったロスを把握しやすくなります。

  • 整理:必要なものと不要なものを分ける
  • 整頓:必要なものを取り出しやすい場所に決めて置く
  • 清掃:設備・作業場所を清掃し、異常に気づきやすい状態にする
  • 清潔:整理・整頓・清掃の状態を維持する
  • しつけ:決めたルールを継続できるよう習慣化する

ボトルネック分析

ボトルネックとは、工程全体の流れや生産能力を制約している工程・設備・作業を指します。工程ごとのサイクルタイムや処理能力、仕掛品の滞留などを比較し、全体への影響が大きい箇所から改善を検討します。

例えば、直列につながる工程を単純化して、A工程が100個/時、B工程が50個/時、C工程が120個/時を処理できるとすると、B工程が全体の流れを制約しやすくなります。この場合、A工程やC工程だけを高速化するより、B工程の負荷や設備能力、作業方法を見直す方が全体改善につながりやすくなります。

見える化・データ活用

工程改善では、現場の感覚だけでなく、サイクルタイム、設備稼働率、停止時間、不良率、段取り時間などを数値で把握することが重要です。データを継続的に確認すると、問題が発生している工程や時間帯、改善前後の変化を比較しやすくなります。

設備のロスを整理する場合は、設備総合効率(OEE)などの指標を利用する方法もあります。

関連記事:設備総合効率(OEE)とは?3つの構成要素・計算方法・7大ロス・改善5ステップをわかりやすく解説

工程改善の進め方5ステップ

工程改善は、改善案を先に決めるのではなく、現状把握から原因分析、実施後の評価まで順に進めることで、課題と対策のずれを防ぎやすくなります。基本的な流れを5つのステップに整理します。

ステップ1:現状を可視化し、問題点を特定する

まず、工程の流れと実績を把握します。現場観察に加えて、作業時間や設備停止、仕掛品、不良などのデータを確認し、「どこで流れが滞っているか」「どこに負荷が集中しているか」を整理します。

確認する項目 確認方法の例
工程ごとの作業・処理時間 サイクルタイムや作業時間を計測する
人・モノの移動 動線を記録し、移動距離や往復を確認する
待ち・滞留 仕掛品の量、手待ち時間、設備待ちを確認する
品質・設備停止 不良率、停止時間、停止理由などを確認する
現場で発生している負担 作業者へのヒアリングで定量データに表れにくい課題を確認する

ステップ2:原因を分析する

問題点を特定したら、表面的な現象だけでなく、その原因を掘り下げます。「なぜなぜ分析」のように「なぜ」を繰り返す方法もありますが、5回という回数を固定することが目的ではありません。設備条件、作業標準、材料、方法、管理方法などまで確認し、対策できる原因にたどり着くことが重要です。

例えば設備から油漏れが発生している場合、パッキン交換だけで終わらせず、交換周期、点検基準、保全計画まで遡って確認すると、再発防止につながる対策を検討しやすくなります。

ステップ3:改善策を立案し、優先順位を決める

原因に対して複数の改善策を出し、効果の大きさ、実施に必要な費用・期間、品質・安全への影響、現場への負担などを比較して優先順位を決めます。

比較的着手しやすい作業改善から始める方法もあれば、ボトルネックへの影響が大きい場合は設備改造や自動化を優先する場合もあります。重要なのは、実施しやすさだけでなく、工程全体への改善効果で判断することです。

ステップ4:改善策を実施し、効果を測定する

改善策を実施したら、導入前に設定した指標と同じ条件で効果を確認します。作業時間、処理量、不良率、停止時間、必要人員などを比較し、狙った課題が改善したかを確認します。

一部の指標だけが良くなっても、前後工程の滞留や別の作業負荷が増えている場合があります。対象工程だけでなく、工程全体に新たな問題が生じていないかも確認します。

ステップ5:標準化し、必要に応じて水平展開する

効果が確認できた改善は、作業標準、点検項目、設備条件、教育内容などへ反映し、担当者が変わっても再現できる状態にします。

他のラインや工場にも同じ課題がある場合は、条件の違いを確認したうえで水平展開を検討します。別の設備・製品へそのまま適用するのではなく、対象工程のタクト、品質条件、レイアウトなどを再確認することが必要です。

工程改善の具体的な改善例

ここでは、工程改善の考え方をイメージしやすいよう、製造現場で想定される一般的な改善例を紹介します。以下はTMCシステムの導入実績を示す事例ではなく、改善方法を説明するための例です。

「探すムダ」を減らす:工具・治具の定位置化

工具や治具の置き場が決まっていないと、作業のたびに探す時間が発生し、作業者によって準備時間にも差が出ます。使用頻度や作業順を踏まえて定位置を決め、表示や形跡管理などを使って戻す場所を分かりやすくすると、探す時間や置き間違いを減らしやすくなります。

「手待ち」を減らす:工程間の負荷を見直す

前工程の処理が遅く、後工程で手待ちが発生している場合は、各工程のサイクルタイムや作業内容を確認し、目標とするタクトとのずれや負荷の偏りを整理します。

作業の再配分、設備能力の見直し、バッファの設定、一部作業の自動化などを検討し、前後工程を含めて流れを整えます。特定工程だけを高速化すると別の工程に滞留が移ることもあるため、ライン全体で確認することが重要です。

「不良」を減らす:発生源まで遡って原因を確認する

最終検査で不良を選別するだけでは、手直しや廃棄が繰り返し発生します。不良が作り込まれた工程や、さらに上流側の材料、設備条件、治具、作業方法などまで遡って原因を確認します。

原因に応じて、作業条件の標準化、治具の見直し、ポカヨケ、設備条件の監視などを組み合わせ、不良を発生させにくい工程へ改善します。

関連記事:製造業の不良対策事例から学ぶ改善策

工程改善に自動化・データ活用を取り入れる方法

作業方法や配置の見直しだけでは改善余地が限られる場合は、データ収集や設備自動化を組み合わせる方法があります。重要なのは、ツールや設備の導入自体を目的にせず、工程上のどの課題を解決するのかを明確にすることです。

IoT・設備監視で現状を継続的に把握する

設備の稼働信号やセンサー情報を収集すると、停止時間、停止回数、設備状態などを継続的に把握できます。人手による記録だけでは捉えにくい短時間停止や時間帯ごとの傾向を確認し、改善対象の特定や効果測定に活用できます。

MESなどで製造実績を管理する

MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)は、製造現場の作業実績、進捗、品質、設備情報などを収集・管理し、生産活動の把握や管理に活用する仕組みです。生産計画や在庫などを扱う生産管理システムとは役割が異なるため、自社で把握したい情報と既存システムの範囲を整理して導入を検討します。

自動化設備・ロボットで定型作業を置き換える

繰り返し作業やワークの搬送・供給、加工機への投入・取り出し、検査などは、自動化設備やロボットを活用できる場合があります。人が常時つききりになっている工程や、作業負荷が大きい工程を設備へ置き換えることで、人員配置や生産の流れを見直す選択肢になります。

ただし、自動化の効果は、ワークのばらつき、タクトタイム、品種数、前後工程、既存設備との連携などによって変わります。対象作業だけではなく、工程全体の条件を確認して設備構成を検討することが重要です。

関連記事:生産ライン自動化の費用・ROIと進め方

TMCシステムが手がけた自動化設備の実績については、以下のページで紹介しています。

 

工程改善の手段として自動化設備を検討する際のポイント

工程改善のなかで自動化設備を検討する場合は、改善対象となる工程だけを切り出して考えるのではなく、前後工程を含めた流れと既存設備の条件を整理します。

  • 自動化によって改善したい指標を明確にする:作業時間、処理量、不良率、必要人員、停止時間など
  • 前後工程との能力差を確認する:自動化後に仕掛品の滞留や手待ちが発生しないか確認する
  • 既存設備との連携条件を確認する:信号連携、ワーク受け渡し、設置スペース、安全対策などを整理する
  • 運用・保守まで想定する:日常点検、異常時の復旧、品種変更、保守の担当範囲を決める

設備の仕様を固める前に現状工程と課題を整理しておくと、必要な機能や自動化範囲を検討しやすくなります。依頼先を比較する際は、構想設計、既存設備との連携、立ち上げ、導入後の保守まで、どこまで対応できるかも確認しましょう。

関連記事:自動化設備メーカーの選び方|自社に合う依頼先を見極めるポイント

自動化設備の構成や対応範囲については、サービスページでも紹介しています。

 

まとめ:工程全体を見て、改善対象と手段を選ぶ

工程改善では、個々の作業だけでなく、工程間の待ちや滞留、能力差、品質、設備停止などを含めて製造の流れを捉えることが重要です。

現状の可視化と原因分析を行い、ECRSや5S、ボトルネック分析などを使いながら改善策を検討します。改善後は効果を測定し、必要に応じて標準化・水平展開することで、継続的な改善につなげられます。

作業方法の見直しだけでは解決しにくい課題については、IoTによる見える化や設備自動化も選択肢になります。TMCシステムでは、組立・搬送・検査などの自動化設備について、現場条件に合わせた構想設計から導入後の保守まで対応しています。

工程改善に向けた自動化設備の導入について、お気軽にご相談ください。

自動化設備の導入事例を詳しく知りたい方は、こちらの資料もご活用ください。

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