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【初心者向け】画像検査とは?仕組みや種類、導入メリットをわかりやすく解説

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画像検査とは

画像検査とは、カメラで撮影した画像データをコンピュータで解析し、製品の外観にキズや汚れ、異物混入などの欠陥がないか、寸法や形状が規格通りかを自動で検査する技術のことです。近年では、従来の目視検査に代わり、製造現場の品質管理や検査工程の効率化に欠かせない技術として注目されています。この画像検査技術を実際の製造ラインに導入する際には、目的に応じた画像検査システムの設計と構築が重要となります。

画像検査と目視検査の違い
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目視検査は、熟練検査員の経験と技能に基づく従来の検査方法です。人の目による繊細な判断が可能で、複雑な欠陥も即座に判別できる利点があります。 しかし、厚生労働省の調査によれば、8時間の検査作業後には検査員の集中力が約40%低下することが報告されています。これは、目視検査が人間の感覚に依存しているため、疲労や注意散漫が影響を及ぼすことを示しています。 一方、画像検査は、高性能カメラを組み合わせた最新のシステムを導入することで、目視検査と比較して検査速度が大幅に向上し、生産性の向上が期待できます。

画像検査システム導入の3つのメリット

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1)検査精度の向上

画像検査は、人間が目視では検知できないような微細な欠陥も検出することができます。これは、高解像度カメラや高度な画像処理技術を用いることで、従来の目視検査では不可能であったレベルの精度を実現しているためです。これにより、製品の品質向上に大きく貢献することができます。

2)生産効率の改善

画像検査は、高速かつ自動で検査を行うことができるため、検査時間を大幅に短縮することができます。また、24時間稼働が可能になるため、生産ラインの稼働率向上にもつながります。さらに、検査データは自動的に記録・蓄積されるため、品質管理の効率化にも役立ちます。

3)長期的なコスト削減

画像検査の導入には初期費用が発生しますが、長期的に見ると人件費の削減や品質問題の発生率低下などにより、コスト削減効果が期待できます。また、検査データの自動蓄積による品質管理の効率化や、生産性の向上による収益増加も見込めます。

画像検査システムの構成要素

「画像検査システムを導入したいけど、どんな機器が必要なんだろう?」「どんな仕組みで動いているの?」というような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。画像検査システムを構成する4つの重要な要素について、わかりやすく解説していきます。
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照明装置:検査の成否を左右する重要な要素

画像検査で最も重要なのが「照明」です。いくらカメラの性能が良くても、適切な照明がなければ良い検査結果は得られません。

照明には様々な種類があり、例えば:

    • 真上から照らす「同軸落射照明」
    • 横から当てる「斜光照明」
    • 下から照らす「バックライト照明」
    • カメラの周りを囲むように配置する「リング照明」

検査対象物が金属のように光沢がある場合や、透明な部品の場合など、対象物の特徴によって最適な照明方式を選ぶ必要があります。

カメラと光学系:システムの「目」となる重要パーツ

検査システムの「目」となるのがカメラです。一般的なデジタルカメラとは異なり、産業用に特化した高性能なカメラを使用します。

カメラの選び方のポイントは:

  • 必要な解像度は十分か
  • 撮影速度は製造ラインの速度に対応できるか
  • 検査エリアをカバーできる視野は確保できるか

また、レンズの選定も重要です。検査対象物の大きさや、カメラからの距離によって適切なレンズを選ぶ必要があります。

画像処理ハードウェア:高速処理のための頭脳

撮影した画像を素早く処理するために、専用のコンピュータを使用します。製造ラインでは、リアルタイムでの検査が求められるため、高速な処理能力が必要不可欠です。

ハードウェアの選定では、以下のような点を考慮します:

  • 1分間に何個の製品を検査する必要があるか
  • どれくらい複雑な画像処理を行うか
  • システムの安定性は確保できるか

検査用ソフトウェア:判定基準を決める重要な要素

最後に、実際の検査を行うソフトウェアです。画像処理や良品・不良品の判定基準を設定するために使用します。

主な機能としては:

  • キズや汚れを見つけるための画像処理
  • 寸法や形状を測定する機能
  • 良品データとの比較機能
  • 検査結果の保存や管理機能

画像検査システムは、これら4つの要素がバランスよく組み合わさることで、はじめて効果的な検査が可能になります。特に照明とカメラの選定は、システムの性能を大きく左右する重要なポイントです。 システムの導入を検討される際は、まず検査対象物の特徴や検査項目をしっかりと把握し、それに適した構成要素を選んでいくことをお勧めします。

業界別導入事例と効果

画像検査について実際の活用事例を3つの業界に分けてご紹介します。それぞれの業界で、どのように活用され、どんな成果を上げているのか、具体的に見ていきましょう。

電機・電子部品業界:微細な世界の品質管理を実現

スマートフォンやパソコンの中には、驚くほど小さな電子部品が数多く使われています。これらの部品は、人間の目で検査するには小さすぎて限界がありました。しかし、画像検査システムの導入により、状況は大きく変わりました。微細な傷や欠陥も見逃さない高精度な検査が可能となり、検査速度も大幅に向上しました。その結果、製品の品質向上と生産効率の改善を同時に実現することができました。

自動車部品業界:安全性を支える確実な検査

自動車部品の検査で最も重要なのは安全性です。ブレーキやエンジン部品など、人命に関わる部品だけに、わずかな不良も見逃せません。画像検査システムの導入により、部品の寸法や形状を高精度に計測できるようになりました。さらに、人為的なミスも大幅に削減され、24時間365日安定した品質検査が可能になっています。検査記録もしっかりと保管されるため、品質管理の透明性も向上しました。

食品製造業界:食の安全を守るガードシステム

食品業界にとって、異物混入は最も避けたい事故の一つです。画像検査システムは、この食の安全を守る重要な役割を果たしています。目視では見つけにくい小さな異物も確実に検出できるようになり、同時にパッケージの形状や内容量の検査も行えるようになりました。これにより、品質の均一性を保ちながらブランド価値を維持し、さらには検査工程の効率化による生産性の向上も実現しています。

画像検査に関するご相談は、TMCシステムへ

画像検査でお困りの点はございませんか?

  • 検査対象物に適した照明やカメラの選定方法がわからない
  • 画像処理条件の設定に不安がある
  • 検査データの収集・分析を効率化したい
  • 検査システムの自動化を検討している

など、画像検査に関するお困りごとがございましたら、まずはお気軽にご相談ください。TMCシステムでは、お客様の製品特性や検査要件に合わせた最適な検査システムをご提案いたします。また、照明条件の最適化から、画像処理、自動化システムの構築まで、幅広くサポートいたします。

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